カワハギ

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F-90X 60mm G400 大瀬崎



真核生物上界 動物界 後生動物亜界 脊索動物門 脊椎動物亜門 顎口上綱 条鰭綱 新鰭亜綱
 フグ目 モンガラカワハギ亜目 カワハギ科 カワハギ属


全長: 25cm


学名: Stephanolepis cirrhifer


英名: Threadsail filefish (Thread = 糸状の sail = 帆 file = やすり)
File fish
Porky (Porky = 豚のような)
Skinpeeler (Skin = 皮 peeler = 皮むき器)

漢字名: 皮剥


地方名: チッチ(青森)
コグリ(山形、新潟)
ゲバ(神奈川)
バクチ(静岡)
コウモリダイ(石川、富山)
コングリ、チュウカア(丹後)
ツノハゲ、バクチウオ(和歌山)
チュウカレンボ(鳥取)
モチハゲ(広島、山口)
コクサン(高知)
ツノコ(鹿児島)
マブユ(沖縄)

北海道以南、東シナ海に分布する。
沿岸近くの浅海から水深100mまでの砂地の混じった岩礁域に生息する。

体型は側扁し菱形、表面はザラザラして硬く、毛のような鱗に覆われている。和名の由来は、料理の時にこの硬い皮をくるりとはいだ事に因る。色は灰色や黄褐色で不規則な黒褐色斑がある。

第一背鰭の棘条は角状で眼の上にあり短い。雄は体長10cmほどで成熟するが、第2背鰭の第2軟条が糸状に伸びているので雌と区別ができる。英名のスリードセイルはここからきている。

口が小さく尖っていて、この口から強く水を噴出して海底の砂を払い、ゴカイ類や甲殻類・貝類を捕食する。

カワハギの優劣は体で分かるといわれる。優位な立場のカワハギは頭の棘を立て、尾鰭をいっぱいに開き、体色も鮮明になる。しかし、これも更に優位なカワハギが現れると一瞬にして変わる。海中で見かけたとき白っぽいものは弱いカワハギである。

旬は夏で、身は白身でよくしまりクセがない。刺し身、煮物、鍋物、吸い物、天ぷら、フライなどにして美味しい。

中でも鮮度のいいものを3枚におろし薄造りにして、肝でつくった肝酢で食べるのが最も美味しいと言われる。港の食堂でこのカワハギの刺し身を注文すると、肝が付いてくるので、ポン酢か醤油に溶いて食べるとよい。

また、肝だけでも生食ができ、ポン酢や醤油で食べたり、刺し身とあえたりする。肝は他に味噌汁や肝鍋にして濃厚な味を楽しむこともできる。

店頭に並ぶ時には近縁種のウマヅラハギと区別されずに売られている事がある。干物や珍味として売られているカワハギはたいていウマヅラハギである。鮮魚の時の見分けるポイントは背鰭で、カワハギは茶褐色なのに対しウマヅラハギは青い。

釣りではマダイ釣りの外道とされるが、餌盗りの名人と言われるほどで、狙って釣るのはかなり難しい。カワハギを目的に釣りに通う人もいるようである。釣り上げた時に出すグウグウという音は、歯をこすり合わせる音である。

カワハギの餌盗りは泳ぎ方と口に秘密がある。カワハギは早く泳ぐ時は尾鰭を使い他の魚と同じように泳ぐが、普段は第二背鰭と尻鰭を波立たせてゆっくり泳ぐ他、静止したり後ろにも下がる事ができる。また、口は先端がカミソリのように鋭く少々硬いものでも噛み切ってしまう。この口を小刻みに噛み合わせ、餌の動きに合わせて泳ぐことにより、浮きをピクリとも動かさずに餌を盗ることができる。

産卵期は夏で生まれた卵は1mm弱である。沈性粘着卵で海藻などに付着し3日ほどで孵化する。

幼魚は流れ藻の中などで暮らし、藻に付いているエビ・カニの幼生を食べて大きくなる。5cm程になると成魚と同じ底生の餌を探し食べるようになる。